031981 ランダム
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 。o○ わが道をいくジャバ ○o。

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★静・動の美しさ★

「どういう本が好きなの?」 

3年前、
じっとしていても汗が滲んでくる真夏、
一人暮らしの女のコの部屋に
お邪魔したことがあった。


「。。。どういう本が好きなの?」 

彼女は、私が聞こえないと思ったのか、
大事そうに紅茶をすすっている私に繰り返した。

ちゃんと聞こえていたけど・・
月並みな質問だけど・・
実は自分でも恥ずかしいほど、
すっごくドギマギしちゃったのだ。

だって、
初対面で、
そして彼女はとっても

キレイだったから!!

こんなにジットリーと汗ばむほどの真夏なのに、
彼女の周りだけ、冷房がギンギンに効いているような
そんなキレイさだった。


「 好きな本は、、、う~ん、、、、
 ”最近”、読んだのは、、田口ランディ なんだけど。。。」

田口ランディは、当時、ネット発の作家として
人気急上昇の時で、たしか3本ぐらい本をヒットさせ
マスコミによく取り上げられてた時で、
”最近”読んだ本 としては、かなり無難な線だった。


(・・でも”好きな”本ではない。)


作家希望の彼女は、
不完全な答えにも関わらず、
私の答えにうなずくように
静かに首をかたむけると話を続けてくれた。

田口ランディと会ったことがある。 と。
2度、会った。 という。

1度目は、田口ランディが、はじめて本を出版するとき、
そして、
2度目は、田口ランディが、数冊めの本を出版するとき。

まるで、
田口ランディは、別人 のようだったと。。


1度目は、"近所のおばさん”で、
2度目は、”女優”だった。 と。


「”売れる”ってね、 こういうことなんだ~。って思ったよ。」

と、ソーサーを手におきながら、
穏やかに紅茶を口にする彼女は、
やっぱり
とってもキレイで、
それだけに説得力がありました。

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<後実談>
彼女は帰り際に、ふと恥ずかしそうに言った。

「ねぇ、気がついた?
 いま、電車が通ったの。」

そう、彼女の部屋のベランダの向こうは線路。
彼女の部屋の隣は、踏み切り。
玄関を開くと、カンカンカンっと踏切の音が部屋中に
けたたましく鳴り響いてきた。

彼女は作家のタマゴということもあり、
住んでいたアパートも質素な造りだった。
私が部屋に居た時も、何度も電車が通ったはずだし、
音はかなり聞こえていたはず。。

なのに、彼女に言われるまで気がつかなかったのですっ!


美しさ というものは、
暑さだけでなく、静けさ まで
味方につけてしまうものかもしれない。



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